スタッフの瀬谷です。3月末のブルベ200㎞を前に頭を悩ましているのが、普段走らないような長距離ライドで発生するお尻の痛み問題です。これまで多くのサドルを使ってきましたが、未だにこれなら絶対大丈夫と思えるサドルに出くわしたことがない私はfi’zi:k(フィジーク)社から発売されている快適性を重視したモデル「TEMPO ALIANTE」をこの度購入しました。
実際に試してみると、驚くほどの快適さがある一方で非常に難しいサドルであるとも感じました。
どうしてそのように感じたのか、早速ご紹介したいと思います。
fi’zi:k(フィジーク)に関して
fi’zi:k(フィジーク)社に関しては以下の記事をお読みください↓
TEMPO ALIANTEについて
2003年に発売された最初のALIANTEは、乗り手の快適性を最優先した革新的なデザインでサイクリング界を席巻し、フランスでは「le sofa(ソファ)」という愛称で親しまれました。以来、20年もの間エンデュランスサイクリストを支え続けています。
2つの特徴
ALL-Day Comfort
新世代のALIANTEは、ウイングからノーズにかけての緩やかなテーパーを特徴とするウェーブプロファイルのサドルです。坐骨を支えるプラットフォームが広く、安定性と荷重配分に優れます。
医学的見地からの詳細な分析と意見を基に開発されたエルゴノミクスカットアウトを採用し、圧迫感を和らげ血流を促進。
従来よりフラットな表面で圧力を均等に分散させ、バランスの取れたフィーリングで一日中快適なライディングが楽しめます。
新開発のパッド
最大限の快適性を実現するため、新たに開発された「Double Density Foam」を採用。十分な厚みを持たせたパッドは坐骨部分を硬く、ノーズを柔らかく、密度を変化させることで、あらゆるライディングポジションでライダーを適切にサポートします。
ラインナップ
TEMPO ALIANTE R1 (¥31,800-)
サイズ:145mm/155mm
重量:180g(145mm)/186g(155mm)
レール:7x9mmカーボン
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム
TEMPO ALIANTE R3 (¥23,700-)
サイズ:145mm/155mm
重量:220g(145mm)/226g(155mm)
レール:7x7mm Kium中空レール
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム
TEMPO ALIANTE R5 (¥17,100-)
サイズ:145mm/155mm
重量:230g(145mm)/236g(155mm)
レール:7x7mm S-Alloyレール
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム
ALIANTEは3グレード展開しており、主な違いはレール素材による重量差のみとなります。
少しでも軽量化を重視するならばカーボンレールのR1を、ALIANTEの快適さを重視して重さは気にしないのであればR5がお薦めです。
インプレッション
今回私はカーボンレールを採用したTEMPO ALIANTE R1を購入しました。
サドル幅は自身の座骨結節幅により145mmを選択。
実測値は179gと公式による表記とは誤差レベルでした。
裏側を見るとHandmade in Italyの字がありました。
fi’zi:kの製品には頭に「VENTO」「TENPO」「TERRA」が付いており、その中でTENPOはロードエンデュランスを重視した製品になります。(VENTOはロードレーシング、TERRAはグラベル)
ちなみに過去のサドル遍歴として、TREK(BONTRAGER)ではAEOLUS PRO、VERSE COMPが、他SPECIALIZED のPOWERシリーズ(POWER/POWER ARC/POWER WITH MILLOR)やS-WORKS ROMIN EVOが比較対象になります。
まずTREKやSPECIALIZED のサドルと比較してパッド面は比較的硬いです。
今まで使用したサドルの中ではSPECIALIZEDのS-WORKS ROMIN EVOとS-WORKS POWERの中間ぐらいの硬さで、fi’zi:kの中ではこれでもかなり柔らかい方なので、基準としてfi’zi:kのサドルはパッドが他社と比べ硬めです。
硬めのサドルではあるものの、特徴的なウェーブ形状が座骨面と上手くフィットするとle sofaの名前の通り高級な革ソファの上に乗っているかのような感覚が味わえます。
またこのモデルはウェーブ形状かつロードバイクならではの前傾姿勢としては比較的アップライトな姿勢で乗ることが推奨されます。強い前傾姿勢をとると座骨が押し当てられたり、尿道部分が強く押され不快な感じが出やすいです。
普段フィッターとしてお客様のポジションを構築したり、自身のポジションに関して深く考えていますが、このサドルはセッティングに関して難しいと言えます。
おそらくTEMPO ALIANTEを購入して使ってみたけど痛いからすぐ手放したという方は一定数いるのではないかと思います。その方たちの多くはまず第一にサドルが高すぎるのではないかと推測できます。
サドルセッティングのポイント
・普段よりもサドルを低めにし、身体を起こすポジションを意識してみてください。ポイントは腰を立てるイメージで骨盤を起こしてあげましょう。
パッドが硬く、特殊なウェーブ形状はサドルが高いとペダルを下死点まで踏み込んだ際に座骨が強く押し付けられ、痛いと感じるはずです。そのため、サドルを下げてハンドルを高くすることで身体を起こし座骨が安定して乗ります。
それでも座骨への当たり方に違和感がある場合は、サドルの角度を調整して自身の前傾姿勢と最もフィットする位置を探してみてください。
上手く位置が合うと走行時に座骨がずれることなく、パッドは硬いのに非常に滑らかな座り心地が得られます。
ただ、この気持ちの良い座り心地を体感できるまで、何回も調整を繰り返しました。
セッティングは難しいものの、上手くフィットすれば快適な座り心地と硬めなパッドによる安定したペダリングができます。
興味がある方は、普段店頭に置いてある私のDomaneにセッティングしてあるので、是非跨ってみてください。
週末のブルベ200kmではこのサドルが本当の意味でロングライドに適しているのかどうか実践します。
ブルベの結果と一緒にこちらの雑記にて報告したいと思います。
この記事を書いたのは…
STAR☆BIKES 瀬谷祐介(メカニック/ライドイベントアテンドスタッフ)
自転車業界に勤めて7年目、普段はロードバイクでのロングライドや県内の未走行のコースを探索し、STAR☆BIKESのコース紹介記事も書いている。ヒルクライムが好きでMt.富士ヒルクライムにも毎年出ているが、登りはけっして速くない。夏場にはMTBでふじてんに行きパークライドも楽しむ。
これまで50台近いバイクに乗り換えており、バイクの特徴を掴んでお客様の希望に合わせた1台を提案することに長けている。