ロードバイクやクロスバイクに乗っているとショップ店員から「タイヤを良いものに交換するともっと速く走れるよ」とお薦めされた経験はありませんか?
カスタマイズの中でも効果の大きいパーツが直接地面と接し走行性能に大きく関わる”タイヤ”になりますが、偏に良いタイヤと言っても軽さに特化したもの、耐久性に優れたもの、転がりに特化したものと性能は異なります。
そこで今回は知っておくとより自身の目的に合った選び方ができるタイヤに関する知識のご紹介をします。
ワイヤービードとケブラービード
まずタイヤを選ぶ上で知らなければならないのは、ビードの種類です。
ビードというのは上記画像の青線部分であるホイールのリムと噛み合うタイヤのサイド部分のことです。
このビードは主に2種類「ワイヤービード」と「ケブラービード」があります。
ワイヤービードというのは名前の通り金属のワイヤーがビード内に埋め込まれています。
写真でも3本のワイヤーが入っているのが見えますね。
基本的にはエントリーグレードのスポーツタイヤやママチャリのタイヤに使われているのがワイヤービードです。
クロスバイクの完成車やロードバイクのエントリーグレードに採用されている事が多く、
特徴は安価な分、金属のワイヤーを使っているのでタイヤが重いです。
ショップの売り場ではタイヤの形のままで販売されているので、見分け方も簡単です。
ケブラービードとはケブラー:アラミド繊維のことで、高強度、耐切創性、軽量、熱安定性の面で優れており、ミドルグレードからプロ選手がレースで使うトップグレードの競技用タイヤまで幅広く採用されています。
特徴はアラミド繊維が軽いため、タイヤ重量がより軽くなります。
例えばBONTRAGERのワイヤービードタイヤであるR1(700C x 25mm)が341gに対し、上位モデルでケブラービードのR3(700C x 25mm)ならば210gとタイヤだけで1本あたり131gもの重量差があります。
タイヤは遠心力が掛かるため軽ければ軽いほど、走り出しや加速の軽快さ、車体の軽量化に大きな影響を与えます。
今まで完成車に付いていたタイヤがワイヤービードであるなら、性能を上げるためには少なくともケブラービードのタイヤを選ぶと良いでしょう。
ケブラービードのタイヤはショップでは折りたたまれた形で販売されているので簡単に見分けがつきます。
TPI
ケーシングとはタイヤの内側部分のチューブに接している部分のことで、画像では1番にあたります。
ケーシングの質を評価する基準はTPI(Thread Per Inch)と呼ばれ、ケーシング1インチ当たりの繊維数を意味します。TPIの数字が大きくなるにつれ、1インチ当たりの繊維数が増え、タイヤはより軽くしなやかになり、乗り心地やパフォーマンスが向上します。例えば、120TPIなど高めのTPIのタイヤは60TPIのタイヤよりしなやかで反応性に優れ、快適な乗り心地を発揮します。
一般的にレースで主に使われるタイヤ、例えばBONTRAGERのR3タイヤならばTPIは120になります。またPIRELLIの人気タイヤP ZERO™ RACEもTPIは120、IRCタイヤのASPITE PRO S-LIGHTならばTPIは180とレース向けのタイヤは乗り心地や耐久性のバランスからTPIが120~180程度であることが多いです。
またレース向けタイヤでもvittoriaのCORSAのようにTPIが320とかなり繊維が細かいタイヤも存在します。
TPIが300を越えると乗り心地が非常にしなやかになる分、耐久性が下がり、それを補うためにタイヤのトレッドを丈夫にし重量が他社と比較し重くなる、もしくは初めから寿命を短く想定しているタイヤもあります。
レースでの転がり抵抗よりも普段のトレーニングやロングライドでの耐パンク性を重視してるタイヤ、例えばBONTRAGERのAW3オールウェザーロードタイヤなどは表面のトレッドが丈夫なだけではなく、ケーシングも強くするためTPIが60と低めに造られています。
結論として、より高性能なタイヤを選ぶにあたり乗り心地の良さや軽さを重視するならTPIの数値が高いものを、乗り心地よりも耐パンク性を重視するならTPIの数値が低いものを選ぶと良いでしょう。
その上で重量に着目すれば、そのタイヤが何を重視して造られたのか見えてくるはずです。
是非、タイヤを選ぶ際はビードの種類、TPIの数値を意識してみてください。