
購入したロードバイクでもっと速く走れるようになりたい。それならばホイールのアップグレードがお薦めです。
ホイールはタイヤに次いで地面に近いパーツであり、走りの質そのものを左右するバイクの中で最も大きな部品です。
ただし、自転車本体に次いで高額な部品でもあり、選ぶにも正しく自身の目的に合ったホイールでなければ性能は発揮できません。ここではリムハイトを元にしたホイールの選び方についてご紹介します。
目次
ホイール各部位名称と素材

ホイールはリング形状のリム、中心部分のハブ、リムとハブを繋ぐスポーク、スポークを固定するニップルの4つのパーツから構成されています。


リムの素材は主にアルミとカーボンの2種類があります。
アルミリムは完成車のエントリー~ミドルグレードの多くに採用されており、安価ですが重量は重いです。
カーボンリムはミドル~トップグレードの完成車やホイールセットとして発売されており、アルミと比べ軽量で用途に応じてリムの高さ(リムハイト)に種類があります。


スポークは棒部分の形状が一般的な丸型やエアロ効果に優れた平べったいブレード形状のものがあります。
スポークはニップルを締めることでテンションを調整でき、そのスポークテンションやスポーク形状・太さ、スポークの組み方によって乗り手のフィーリングが変わります。
素材はステンレスがほとんどですが、一部のメーカーホイールではアルミやカーボン製のスポークもあります。
完組ホイールと手組ホイール

完組ホイールとは既にメーカーの工場で組み立てられホイールの形で販売されているもののことです。


メーカーが研究し設計したリムとハブを推奨するスポークで組み合わせた完組ホイールは、メーカーが想定した用途に合わせて組まれれているため、自身の用途と合っていれば間違いのない選択肢です。


手組ホイールはリム・ハブ・スポーク・ニップルを別々に用意し、専門ショップや個人が一から組み上げるホイールです。自分の用途に応じて好みのパーツを組み合わせ、スポークの組み方やテンションも選べるため自分だけのオリジナルホイールとなります。
ホイールの選び方:リムハイト




ホイールを選ぶにあたり、メーカーは同じホイールでもいくつかのリムハイトを用意している事があります。
例えばBontragerのトップグレードであるAeolus RSLホイールにはリムハイトが4種類(37mm、51mm、62mm、75mm)あります。
ロードバイク用のホイールは、リムハイトによって大きく3つのカテゴリーに分けられます。

ローハイト
リムハイト:リムハイト30mm台かそれ以下のホイール
空力性能:△
加速性能:◎
重量:◎
巡航性能:△
横風の影響の受けにくさ:◎
得意な地形・シチュエーション:上り(ヒルクライム)、ストップ&ゴーが多い街中
Aeolus RSL 37のようなリムハイトの低いローハイトのホイールは軽量なため上りが得意で、加速性能にも優れています。また横風の影響を受けにくいため、強風下でもバイクをコントロールしやすくなります。
レースにおいてはヒルクライム、とりわけ勾配のきついコースで活躍します。
ストップ&ゴーが多い街中での走行でも楽に加速し体力の消耗を抑えることができます。
ただし、高速巡行に弱いためノンストップで走るようなレースの場合、自身の漕ぎで速度を維持しなくてはならず、かえって疲れることもあります。

セミディープ(ミドルハイト)
リムハイト:40〜50mm台のホイール
空力性能:◯
加速性能:◯
重量:◯
巡航性能:◯
横風の影響の受けにくさ:◯
得意な地形・シチュエーション:ロードレース、アップダウン、オールラウンドな状況、加速減速が多いシーン
Aeolus RSL 51のようなリムハイトがセミディープ(ミドルハイト)のホイールは軽量さとエアロ効果のバランスに優れたホイールとしてオールラウンドに活躍できるホイールです。
細かいアップダウンが多いコースでも使い勝手が良く、普段のホビーユースからレースにいたるまで幅広く使えます。
ただしリムハイトが50mmを越えてくると横風の影響も多く、風が強い日にはしっかりとハンドルを抑えないとバイクがふらついたり、信号からの加速でもパワーを使うため、ある程度鍛えたライダーでなければ使いこなせないこともあります。

ディープリム
リムハイト:概ね60mm以上のホイール
空力性能:◎
加速性能:△
重量:△
巡航性能:◎
横風の影響の受けにくさ:△
得意な地形・シチュエーション:トライアスロン、平坦、下り、加減速が少ないシーン、直線
Aeolus RSL 62や75のようなディープリムホイールであれば空力性能は最も優れており、一度速度に乗ってしまえば高速域での巡航は楽になります。
逆を言えば高速域まで速度を上げる際に大きなパワーを使う為、ノンストップでカーブの少ないトライアスロンのような場面であれば活躍しますが、街中のストップ&ゴーが多いと余計な体力消費が発生します。
横風からの影響も大きいため、使いどころを選ぶホイールでもあります。
同じリムハイトでも重量差に注意


例えば上記写真のBontrager Aeolus Elite 50とAeolus RSL 51はどちらもカーボンリムでリムハイトも50と51㎜で似た設計です。ただし、重量面から見るとAeolus Elite 50が前後1750gに対し、Aeolus RSL 51は前後1410gと300g以上も軽く作られています。
この300g差は実際に乗り比べると加速の瞬間からあきらかな差を感じ、Elite 50の加速にもたつきを感じるでしょう。

ちなみにTREKの完成車に採用されていることが多いBontrager Paradigm SLのアルミホイールは前後重量はおよそ1850gあります。
Bontrager Paradigm SLからAeolus Elite 50にアップグレードした場合、アルミからカーボンリムに変わることで横剛性が上がりダンシングで車体を振った際のフィーリングはカッチリしてると感じるでしょう。
ただし、重量差は100g軽量化されたのみであり、車体そのものを軽くしたいと考えていたライダーにとって変化は小さいです。
加えてそのライダーの目的が軽量化と快適なサイクリングを楽しむホビーユースでの性能向上だった場合、Elite 50のセミディープリムによる加速にパワーが必要なことや時速40㎞を越える様な高速巡行をしないのであれば、ホイール自体の恩恵を十分に得られず満足度の低いホイールになってしまいます。

それならば同じEliteグレードでもローハイトのAeolus Elite 35を選んでいれば、重量は前後1665gと200g近い軽量化とローハイトによる加速の軽快さでホビーユース面での向上は大きくライダーは強いメリットを感じるでしょう。
もちろん金額さえ出せばAeolus RSL 51ならさらに軽く、加速性能も空力性能も優れたホイールが手に入りますし、リムハイトが37mmのAeolus RSL 37であればElite 35よりハイトが2mm高いながら重量は1325gと圧倒的な軽さで快適なサイクリングを楽しめます。
ただし値段についてはRSLはEliteの2倍以上します。最上級グレードの中で自身の用途に合ったものなら大きな感動を得られるのは間違いありませんが、自身の選べる範囲でホイールを選択するならより目的に合ったものを選べるようよく調べてから購入しましょう。
BONTRAGERホイールラインナップ
下記リンクよりBONTRAGERのロードバイクホイールを紹介しています。

BONTRAGERのホイールは万が一の故障も安心

最初の購入から2年以内に走行中においてボントレガーのカーボンホイールを破損させてしまった場合、カーボンケア・ホイールプログラムにより無償で交換または修理を受けられます。これはボントレガーのカーボンホイールがバイクに標準装備される場合や、アフターマーケットでホイールを購入した場合も対象です。
レースやトレーニングでも安心してお使いいただけます。
以上、「ホイールをアップグレードしよう!リムハイトによる推奨用途の違いをご紹介」でした。
ご自身の目的に合ったホイールがどれか分からない場合にはお気軽に店頭スタッフまでご相談ください!