
3月30日(日)に開催された「ヘント〜ウェヴェルヘム」ではLidl-Trekのマッズ・ピーダスンが残り56㎞を独走し、ヘント3勝目そしてプロ通算50勝目を手にしました。その中でも話題となったのがTREK MadoneのコンポーネントにSRAMのグラベル電動コンポーネントRED AXS XPLRに歯数の大きなフロントシングルを組み合わせるというこれまで見たことのない仕様。
石畳を含む路面の荒れたコースだからこそ活きるこの仕様ですが、実はスタッフも少し前から導入してました。
プロのように走るわけではなくとも想像以上に便利なギア構成だったのでご紹介したいと思います。



画像参照:https://racing.trekbikes.com/stories/lidl-trek/sram-red-xplr-1x-drivetrain-classics-mads-pedersen
今年のヘント〜ウェヴェルヘムでマッズ・ピーダスンはフロント56Tに13速の10-46 カセットを使用しています。
XPLRのカセットを使うことでロー側の38T/46Tの間のギアがフロントダブルと比べ選択肢がなく、登りでは変速時にロスが生まれるデメリットがありますが、ピーダスンはフロントダブルの変速時に石畳や荒れた路面ではチェーンがきちんとかかったか確認してから踏み始める時間のロスの方が大きいと話しています。
フロントシングルと登りでも使えるギア比を持つXPLRの組み合わせは荒れた路面で一つでもチェーン落ちのようなギアトラブルが起きれば大きなミスとなる選手らにとってより安心できる仕様だったようです。


そしてスタッフの瀬谷ですが、前回の雑記では大磯クリテリウムに向け用意したEmonda ALRのコンポーネントが一世代前のSRAM AXS XPLR 12速仕様になります。組み合わせはフロントシングル46Tに対しリアのカセットは10-44Tでした。

実際にこの仕様で走行するとフロントの歯数が小さく、スプリントではギアが足りない場面もありもがきにくいと感じました。そこで用意したのが…

SRAM純正のフロント50Tエアロチェーンリングになります。
シマノのコンポを使用する方にとってはフロントはヒルクライム仕様で50/34T、レースで走る方なら52/36Tや54/40Tを使うため、50Tだと小さいのでは?と感じますが、SRAMはリアのトップ側歯数が10T(シマノなら11T)なので…
「フロント50T:リア10T=5 : 1」これはシマノの54Tにおける「フロント54T:リア11T=4.91 : 1」よりも重いギア比で踏める構成となっています。
そう考えるとフロント56Tにリア10Tの構成で乗るピーダスンやスプリンター選手は化け物レベルというのが良く分かりますね。

元の46Tと比較すると一回り大きくなっているのが分かります。


導入した当時はグラベルコンポにエアロチェーンリングでフロントシングルってちぐはぐで可笑しいかも…と考えていましたが、使ってみるとその便利さに驚きます。
例えば…「カセットのトップ側は歯数差が小さいので平坦メインのクリテリウムでは変速に違和感がない、そして重いギアでしっかり踏める」や「フロントがシングルだからリアの変速操作のみでチェーン落ちを気にせず、操作で気を遣う必要が一切ない」、「フロントが1枚で歯数は大きいけど、XPLRのカセットのおかげである程度の登りならカバーできるため、普段のロングライドでも問題なく走れる」といったメリットがあります。
ただし、デメリットもあって「フロントダブルと比べ細かいギア比が選べない」や「勾配のきつい山ではギアが足りずケイデンスが上がらない」というのもあります。
要は万能ではないが、使いどころが噛み合えばデメリットよりメリットが上回って使いやすくなります。
まさに今回のヘント〜ウェヴェルヘムのような「石畳のような荒れた路面」「長い登りの少ないコースレイアウト」「スプリント能力やパワーのある選手が活かせる場面が多い」といった特定条件で噛み合ったのと同じ話です。

プロも導入するコンポーネントの組み合わせを偶然先取る形で導入した私ですが、残念なことに3月の大磯クリテリウムは天候不良で中止となってしまいこのバイクが日の目を見ることはありませんでした。
しかし、通常なら選ばないコンポーネントの組み合わせで新しい発見もあったので、せっかくなのでこちらで紹介してみました。
使う場面さえ間違わなければメリットの多い構成なので、もし既にXPLRコンポのバイクを持っている方でギア比が軽いと感じているなら、チェーンリングを交換するだけで出来るので如何でしょうか?
案外オススメです。

STAR☆BIKES 瀬谷祐介(メカニック/ライドイベントアテンドスタッフ)
普段はロードバイクでのロングライドや県内の未走行のコースを探索し、STAR☆BIKESのコース紹介記事も書いている。ヒルクライムが好きでMt.富士ヒルクライムにも毎年出ているが、登りはけっして速くない。
2024年の富士ヒルで念願の初ブロンズを達成。夏場はMTBでふじてんに行きパークライドも楽しむ。
これまで50台近いバイクに乗り換えており、バイクの特徴を掴んでお客様の希望に合わせた1台を提案することに長けている。




