
こんにちは、スタッフの瀬谷です。今回はイタリアの大手サドルメーカーSELLE ROYAL(セラロイヤル)社のハイエンドモデルとして発売されているfi’zi:k(フィジーク)から2024年の6月に発売されたばかりの3Dプリントサドル「TEMPO ALIANTE ADAPTIVE」のインプレッションをご紹介します。
目次
fizikのサドルカテゴリーについて

VENTO(ヴェント)
プロサイクリストのフィードバックを基にデザインされたシリアスライダー向けのレーシングシリーズ。
集団から抜け出す鋭いアタック。背中を引っ張られているかのような激坂。すべてを出し尽くすゴールスプリント。あらゆるシチュエーションで最大限のパフォーマンスを発揮し、ライダーの力を極限まで引き出します。
TEMPO(テンポ)
自転車を楽しみ、最高のライディング体験を得る為にデザインされたオールラウンドなロードシリーズ。
気の置けない仲間とのロングライド。お気に入りのマイカーや輪行で遠出して絶景の中を駆る。未だ見ぬ頂を目指してピークハント。様々なシチュエーションに対応するオールラウンドな性能と優れた耐久性が、自転車本来の楽しさを引き出します。
TERRA(テラ)
シクロクロスやグラベル、アドベンチャーライド用にデザインされたタフなシチュエーション向けのパフォーマンスシリーズ。泥や砂にまみれた悪路。行く手を阻む先鋭な石畳。草木が生い茂った獣道。タフでありながら快適性も兼ね備えており、あなたの境界線を超えていくようなデザインが様々なシーンでそのパフォーマンスを発揮します。
GRAVITA(グラビィータ)
重力を利用したマウンテンバイクの為の特別な設計のダウンヒル対応モデル。タフなトレイルにアタックするために必要な耐久性とデザインを備えたGRAVITAは重力の圧倒的な力を利用し、コントロールするためのパフォーマンスを備えています。
TRANSIRO(トランジィーロ)
さまざまなディスタンスに対応する特別なデザインが施されたトライアスロンシリーズ。
第4のパートとよばれるトランジションを1秒でも速くこなし、バイクパートでもライバルたちに差をつけるスペシャリティーモデルがラインアップされています。
(https://www.riogrande.co.jp/topics/new/30000016855/より)
ALIANTEシリーズラインナップ
fizikのALIANTEシリーズはTENPOカテゴリーに分類され、ダブルデンシティフォームパッドを採用したALIANTEと3DプリントのADAPTIVEパッドを採用したALIANTE ADAPTIVEに分かれています。
ALIANTE

TEMPO ALIANTE R1 (¥31,800-)
サイズ:145mm/155mm
重量:180g(145mm)/186g(155mm)
レール:7x9mmカーボン
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム

TEMPO ALIANTE R3 (¥23,700-)
サイズ:145mm/155mm
重量:220g(145mm)/226g(155mm)
レール:7x7mm Kium中空レール
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム

TEMPO ALIANTE R5 (¥17,100-)
サイズ:145mm/155mm
重量:230g(145mm)/236g(155mm)
レール:7x7mm S-Alloyレール
シェル:カーボン強化ナイロン、ウイングフレックス
パッド:ダブルデンシティフォーム
ALIANTE ADAPTIVE

TEMPO ALIANTE R1 ADAPTIVE (¥54,100-)
サイズ:145mm/155mm
重量:196g(145mm)/201g(155mm)
レール:7x9mmカーボン
シェル:カーボン強化ナイロンシェル
パッド:Carbon® Digital Light Synthesis™ 3Dプリント

TEMPO ALIANTE R3 ADAPTIVE (¥46,400-)
サイズ:145mm/155mm
重量:235g(145mm)/240g(155mm)
レール:7x7mm Kium中空レール
シェル:カーボン強化ナイロンシェル
パッド:Carbon® Digital Light Synthesis™ 3Dプリント
ADAPTIVE(3Dプリントモデル)について
デジタル・マニファクチャーの先駆者「Carbon, Inc.」によって開発された、最先端の3Dプリントテクノロジーである「Digital Light Synthesis™(以下DLS)」により密度を細かく変化させ、機能性の異なるゾーンを備えた格子状のエラストマーは、サドルに無段階の可変性をもたらします。それにより優れたクッション性、衝撃吸収性、振動減衰性を備えています。さらに拡大された接触面積と、機能性の異なるゾーンによるペダリングに対するサポート性も兼ね備えており、ハイパフォーマンスサドルとして重要な安定性をもたらします。(https://www.riogrande.co.jp/topics/new/30000016855/より)

3D-PRINTED PADDING
驚異的な性能と、快適性を兼ね備えたゾーン・クッションを実現したADAPTIVEが、ALIANTEシリーズに追加されました。サポートとプレッシャー・リリーフを最大化するようデザインされた、やや幅広のプラットフォームのウェーブ・プロファイル・サドルで、長時間持続可能な抜群の快適性を望むサイクリストに最適なサドルです。

TAILORED ZONAL CUSHIONING
デジタル3Dプリントの進化により、従来の製造方法や素材による制約や制限を受けることなく、新しいサドルを開発が可能になりました。ADAPTIVEのパッドは、革新的なDLSテクノロジーを使用してCarbon® 社によって作られています。DLSは、デジタル紫外線投影、酸素透過性光学系、プログラム可能な液体樹脂を駆使して、優れた機械的特性、解像度、表面仕上げを持つ部品を製造する製造プロセスです。

LESS PRESSURE = LONGER RIDES
ALIANTEの3Dプリントパッドは、ライディング・ポジションに関係なく、すべてのライダーに長時間のライディングに適したサポートを提供できるよう設計されています。アダプティブ・テクノロジーのユニークな特性により、単純なカットアウト構造ではなく、より柔らかいパッドを中央部分に設計し、サドルの表面積を増やし、サドル全体に体圧を分散させ、長時間のライドでの快適性を向上させています。
スタッフインプレッション

私はカーボンレールタイプのTEMPO ALIANTE R1 ADAPTIVEを使用し、100~160km程度のロングライドで使用しました。
このサドルの特徴は何といっても3Dプリントで造られたパッドです。今では多くのメーカーが3Dプリントサドルを発売していますが、その先駆とも言えるのがfizikです。2020年には最初の3DモデルANTARES VERSUS EVO 00 ADAPTIVEサドルを発売し、他社と比較してもfizikには技術も歴史もあります。

3Dプリントで造られたパッドのメリットと言えばパッド面に乗っている臀部の骨、坐骨結節(上記イラスト参照)が長時間のライドにおいてピンポイントで圧がかかり痛くなる症状を防いでくれることです。
簡単に言えば長時間乗ってもお尻の骨付近が痛くならないということです。
これは一般的なパッドであれば骨付近に集中して圧力がかかるのに対し、3Dプリントパッドでは圧力が分散することで坐骨結節にピンポイントで負荷がかからないためです。


私はこれまで他社の有名3Dサドルを使用したこともありますが、とりわけこのTEMPO ALIANTE ADAPTIVEは骨付近で痛みが出にくいと感じます。
実際に山を含む160㎞のライドを行った際にこのサドルで最後まで坐骨結節付近が痛くなることはありませんでした。
箱根の大観山まで登る椿ラインを通り、長時間シッティングで回し続けると普通に走るよりも臀部の圧迫は強く、骨付近が痛くなることが多いのに、TEMPO ALIANTE ADAPTIVEでは最後まで痛くならなかったことには感動しました。
またfizikのADAPTIVEシリーズは部分によってパッドの硬さが異なり、骨が当たる部分は硬くしっかりと支えてくれるため、ペダリングで効率的により力を入れて回すことができます。また尿道が通るサドル中心部は非常に柔らかく、圧迫による痺れが出にくいため快適に走ることができます。


比較として私は以前200kmのブルベに出る際に3Dではない通常のTEMPO ALIANTE R1で走りましたが、その時は後半で骨付近が痛くなり、サドルにしっかり座り込んでペダリングすることが出来ませんでした。
100km以内では痛みは出ずに快適に走れるので非常に気に入ってはいるのですが…。
同じサドルでもパッドがクッションか3Dプリント製かでここまで差が出ることに驚きます。
3Dプリントサドルを使う難しさ

坐骨結節の骨付近に痛みが出にくいというのは大きなメリットですが、いざ使うとそれとは別に使用上の難点が出てきました。
それは通常のサドルと比べてかなり滑りにくい、グリップが強すぎる点です。
私はヒルクライムが好きで、平坦と登るときは座る位置を若干変えるのですが、その際に座ったままずらそうとしてもずれません。少し臀部を浮かせて位置を調整しないと変えられないぐらいグリップします。
ポジションが正しく出ていない場合、ペダリング時に座骨結節がサドル上からわずかにズレながら回すことになりますが、通常のサドルであればサドルとパンツの間で滑ってズレるところ、3Dパッドだとパンツが滑らないので臀部がパンツとの間で滑ります。
そうなると何が起こるのかというと強烈な股擦れです。
実際箱根で160㎞走った際にはまだサドルの位置が合っていなかったため、開始50kmで臀部に違和感を覚え、100㎞も過ぎれば股擦れの痛みでサドルに座る事すら嫌でした。家に帰れば臀部の擦ったところ全てで薄皮がむけて…思い出したくもありません。
そのため、3Dプリント製サドルを使う上での注意点として「ポジションが正しく出ていること」そして「坐骨結節がサドル上でズレない綺麗なペダリングができること」、この2点が挙げられます。
そこさえ上手くいけばどれだけ乗っても痛くなりにくい快適なサイクリングが楽しめるようになります。
正しいポジションに関してはライダー一人ひとり異なるため、STAR☆BIKESではフィッティングサービスを行っています。興味がある方は気兼ねなくご相談ください。

この記事を書いたのは…

STAR☆BIKES 瀬谷祐介(メカニック/ライドイベントアテンドスタッフ)
自転車業界に勤めて8年目、普段はロードバイクでのロングライドや県内の未走行のコースを探索し、STAR☆BIKESのコース紹介記事も書いている。ヒルクライムが好きでMt.富士ヒルクライムにも毎年出ているが、登りはけっして速くない。
2024年の富士ヒルで念願の初ブロンズを達成。夏場はMTBでふじてんに行きパークライドも楽しむ。
これまで50台近いバイクに乗り換えており、バイクの特徴を掴んでお客様の希望に合わせた1台を提案することに長けている。
